日曜日, 8月 30, 2015

市場は物理法則で動く

 市場は嵐のごとし。この本の主張を端的に言うと、そういうことになるだろう。
 これまでの経済学では、経済主体は合理的で、市場は「神の見えざる手」で自ずと均衡に落ち着くとされてきた。しかし、この本の中で著者は、繰り返し繰り返し、それがいかに間違いかということを述べている(くどすぎるが)。市場価格の変動は「均衡点」などという静的な概念では捉えらず、むしろそれは嵐のように安定と不安定の流れが渦巻くダイナミクスが本質的であると。
 著者の言わんとすることには同感である。ただ、効率的市場仮説の代案として、どんなことが最新の経済物理学で研究されていて、どんなことがわかってきているのかの説明がもっとほしかった。エージェントモデルがいくつか紹介されていたが、あまり説得力をもって書かれていなかった。ただ、それらの部分を差し引いても、十分に面白く、読む価値のある本だ。

 

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